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ヤンゴン下水処理関連調査を実施

 

1.pngのサムネール画像

YCDC(Yangon City Development Committee)が所管するヤンゴン市内の下水処理施設はイギリス植民地時代に作られたもので、1ヵ所しかなく、それもダウンタウンの下水にしか対応していない。それでも毎日概算で300万?500万ガロン、多いときは700万ガロンの下水が送られてくる(※案内してくれしたEngineering Department (Water and Sanitation)の担当者の話)※升目に整理されているダウンタウン以外の地域はもっぱら浄化槽とバキュームカーで対応しているという説明を受けたが全体的に浄化槽が設置されているのかという質問には「担当ではないのでわからない」

ということだった。

 

 施設のある敷地に入ると強烈な匂いがするが5分もいると慣れる。匂いにはアンモニアが関係している。担当した女性の話では、予算がないため一切の化学物資は使わずに空気を送り込むだけのエアレイション(曝気処理:aeration)のみで対応しているという。稼働は24時間フル稼働で、2時間ごとに停止と稼働を繰り返す。エアレイションの機械そのものは日本の商社が以前設置したもので見た目にも相当古くなっている感じがした。

 

ヤンゴン市内ボッダタウンにある市内唯一の下水処理施設内のエアレイション設備?放水前の最終処理槽の先にはCODの数値が3000?5000の異常に高い病院等から出る排水を貯水する深さ5mの貯水槽も設置されている。いったん沈殿させて上水を流入槽に戻す。

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今回、調査のため訪緬したチームによると、下水処理場での流入槽のCOD300(※但し簡易キットだったため源水そのものは計測不可能で、それを10倍に希釈した下水の数値)、アンモニアが9mg/?。ヤンゴン川に放流する最終槽の数値はCOD25, アンモニアが1.5mg/?。窒素化合物については処理できていないという。

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 ちなみに市内にあるインヤー湖、カンドジー湖、ヤンゴン川でもそれぞれ同様の試験を実施したが数値はそれぞれ、インヤー湖(COD 10, アンモニア0.4), カンドジー湖(COD15, アンモニア0.2), ヤンゴン川(COD11, アンモニア0.9)という結果だった。※インヤー湖はInya Lake Hotelの敷地で採水、カンドジー湖は南側のパゴダの周囲、ヤンゴン側はボッダタウンにあるVintage luxury Hotel入口で採水したもの。また試験は簡易キットを使用。

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なお、アオコが大量発生しているカンドジー湖について(※広さは約0.25平方マイルとのこと)、以前は周辺住宅地域からの排水も流入していたが現在はそれらの排水が入らないようにしているという。それでも湖畔にあるレスト ラン等からの排水は避けられない。噴水設備があったが噴水ではアオコ対策のための酸素供給ができないので湖の浄化には役立たない。このカンドジー湖の浄化に関してYCDCの関心は異常に高い。会議ではこれについていくつもの質問が寄せられた。これまでにもいろいろな対策や試験が実施されたが効果は出ていないらしい。※今回の調査チームが推奨したのはナノバブルとマイクルバブルを発生させ酸素を水中に滞留させるFine Bubble発生装置で、YCDC側からは湖畔のロイヤルガーデン・レストランの端で試験をしたいということを何度も言われた。日本側はまず水槽でテストしてから検討するのではどうかという提案がなされたが、カンドジー湖のアオコをFine Bubble発生装置導入でやるとしたら広すぎて効果も限定的な懸念があるほか、何台も設置しないといけないため相当額の資金が必要になるなどの問題もあっておそらく即応できなかったと思われる。

 

 なお下水対策としては既存の下水処理設備の拡張とか機能改善に優先順位をおいており、下水槽の設置とかはプライオリティが低いと聞いた。この点からすれば、調査チームが既存の下水処理施設に導入を提案しようとしているFine Bubble発生装置は、CODとかアンモニアを削減する効果のほか設置による消費電力が低いので(1台あたり1Kw。既存の装置だと30Kwの電気か必要)、この方針には一応は適する。

 

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YCDCのほかに今回はミャンマー・エンジニアリング協会、それとヤンゴン工科大学なども訪問。YCDCではODAの話が中心だったが、エンジニアリンク協会ではビジネスの話になった。もともと58,000人以上のエンジニアが所属し300近い技術系の企業も参加しており、工場や病院等の排水改善にも関心が高い。去年の9

Fine Bubble発生器で48時間(1時間稼働、1時間停止のサイクルで)テストした結果、BOD700から150に低減し、アンモニアが12mg/?から2mg/?に減少したという成果を出したことなども紹介され、出席者もWHOの現地顧問とかYCDCDepartment of Engineering (Water and Sanitation)Headだった幹部もいて高い関心が示され、次回、MESの参加企業等を多数集めるのでセミナーを開催してほしいとの申し入れがあり日本側参加者との間で合意した。

これに対してヤンゴン工科大学では学術的な面で、例えば水質改善調査等に

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ついての共同研究の提案などが日本側からなされた。同大学は現在、民間との共同研究を熱心に推進しようとしており、出席したニランゲ(Nyi Hla Nge)YTU運営委員会委員長?YTU学長・エンジニアリンク協会会長・科学技術副大臣等を歴任?によると多額ではないが共同研究等のためのFoundationが存在しており、国内のことに関してはそれを使って行うことも可能だといい、今後、担当者同士でメールでのやり取りなどを通じて具体化させようということになった。?担当者として参加したのは工業化学(Chemical engineering)Head で准教授Dr.Tint Tint Kywe。土木工学の講師も同席したが全員女性(※写真下を参照)?

もっともFine Bubble発生装置に関してはナノレベルの泡が有する浮かばないで水中に滞留する性質が様々な効果を持つという事実はわかったが、そのような効果が発生する科学的なメカニズムについて質問があり、これについて日本側は「それはまだ科学的に説明することはできないまま」だと回答。いずれにしても共同研究に関してはいくつかの可能性があることが判った。

 

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※今回の調査と協議は産官学の代表的なところで実施されたもので初回にしては成果が多数みとめられ、次回以降につながる訪問となったというのが参加者各位の評価。600万人超が生活しているといわれるヤンゴン市内に下水処理施設がひとつで、しかも空気を送り込む曝気処理以外の処理はなされておらず、下水について大多数は浄化槽設置で処理され、しかもそれすらないところがあるというのは健康や環境を考えると結構深刻かも知れない。提供された情報の中で想像すると適切な処理がなされないまま近くの河川に放流される量も少なくないと思われ、今後各工業団地に多数の工場が設置され操業するようになると排水問題が深刻化するおそれが高い。なお、YCDCには福岡市から派遣された上水関係の専門家もいて会議に参加していた。

作成: 201686