日本ミャンマー交流協会 AJMMC:

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期待外れの日本人

ゴルフの趣味はU Kyi.JPG全くないが、誘われて2回だけヤンゴンでトライしたことがある。10年程前と2009年で、最初のころはミャンマーにゴルフ場があることすら知らなかった。イギリスの植民地だったせいかヤンゴンだけでも何箇所もあるし、近くのバゴーにも日系企業が外国投資法の適用を受けて造成したプリンクラー付きのハンタワディ・ゴルフ場があり、遺跡の町バガン、その他、国内各地に多数存在している。10年以上前、有名銘柄各種のゴルフセット20以上が並んでいる有力者の自宅や、お土産用として10セット以上をいつも準備している日系企業などを訪問して驚いたこともある。ゴルフを好きな人がミャンマーには多いらしいこともわかった。雨期でもゴルフ場はオープンしている。ゴルフだけプレーする目的でミャンマーを訪問した日本人グループもいた。長期赴任の日本人でゴルフを趣味にしている人は少なくないし、日本では全く経験がなかったのに、ミャンマーに赴任して「はまってしまった」という日本大使館の女性スタッフもいた。

ヤンゴン工科大学航空工学科教授を定年で引退し、今はエンジニアリング協会の幹部等の仕事をしているK氏との付き合いは長いが、同氏の娘はシンガポールに、息子はマカオに、それぞれ在住しており、K氏は時々子どもたちのところを訪問している。2009年11月に会ったとき、マカオの息子からブランドのドライバーをプレゼントされたと話しており、招待するから練習に行こうと誘われた。場所は国内で、もっとも整備が行き届いているとして有名なパンライン・ゴルフ場で自分は会員になっているという。1回しかやったことがないし、ゴルアセットもないからと固辞したが、「だったら教えるから心配ない」と言われ、翌朝待ち合わせることになった。生涯2度目のゴルフてある。

Pan Hlaing Golf 1.JPGパンライン・ゴルフ場は、ヤンゴン市内から車で30分から40分ほどのところにあるラインタヤー(Hlaing Tharyar)に、2002年頃ゲーリー・プレヤーの設計で造られたゴルフ場で、それを含む全敷地内には豪華な一戸建てやコンドミニアム、国際病院なども建設されていて、ここだけ見ているとミャンマーのイメージがおかしくなるほど整備された環境にある。

 待ち合わせの時間にK氏はやって来た。手にはCallawayのロゴの入ったドランバー1本が入った黒地のバッグひとつを抱えていた。会員だから残りはここで借りられるのだろうと思っていたが、手続を済ませると、やはりそれだけ持って打ちっぱなし練習場へ向かった。そこで借りるのかと思ってついて行ったが、一向に借りる様子はないし、そういうものが置いてあるような雰囲気もない。結局、K氏が持参したドライバー1本を使って10球ずつ交互に打つというバッティング・センターのような状況になった。本人は何の不思議もない、当然だというような顔をしてPan Hlaing Golf 2.JPGいる。                

ボールを置いてくれる女性のスタッフたちが笑いをこらえているだけのことだが、こちらは気になる。K氏はそんなことは全くお構いなしに、置かれたボールを次々に打って行く。ボールは飛ばないし、方向もあちこち定まらない。それでも調整しようという気もなく、ただ打つ。10球打って私に代わる。今度はどうやら日本人のようだからといったような顔つきにスタッフは変わり、ボールを置いてくれた。10年に1度で上手くなるわけもなく、いきなり空振りをした。それを見て女性スタッフは座っていた低い椅子を後ろに下げ、目線が合ったほかのスタッフの顔を一瞬見て、頭を下げ右手で口を覆った。小刻みに肩が震えてるようにも見えた。恥ずかしいというか、何といおうか、そんな気持ちで振ったらスコーンという音とともに見えなくなるくらいまでボールがまっすぐ飛んでいった。それをみたK氏は「何度もやっているだろう。初めてとは思えない。すごい・・」(後は何と言ったか覚えていないけど、歯の浮くような言葉を羅列していたような気がする)。そこでやめるべきだった。ゴルフの上手い日本人のイメージをこわし続けること20分。2回目からはK氏も3球打っては「疲れた」と言って代わり、どうやら本人もあまり好きではないないらしいことがわかった。途中から女性スタッフに打たせるようになってしまい、彼女が打つたびに後ろの椅子に座って解説を始めていた。

気の毒に思ったのかスタッフの責任者のような女性が、近くのパターの練習場に連れて行ってくれ、見本を見せてからやらせてくれた。50球くらいは打ったと思うが、ひとつも入らなかった。悪いことをしたと思ったのか、ますますやらせようとする。こうなれば仕事とは関係ないようで、もっとやれ、といってボールをバケツで持ってきた。何だか怒っているような顔にも見えた。K氏が呼びに来なければ、このままやり続けていたかも知れない。早朝から出かけて来て、何をしに来たかよくわからない状態だったが、お蔭で、クラブハウスのレストランで食べた朝食はとても美味しかった。帰り際に、「またやろう」とK氏は声をかけてくれたが、それから2年経って何度か会っているがK氏もゴルフの話題には一切触れないようになっている。