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大使インタビュー(留学生事情)

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1989年に故林健太郎氏(東大総長・文部大臣等歴任)によって設立された国際留学生協会が、定期的に発行している新聞があり、そこの担当者が、ミャンマー人の留学生事情についての取材のため大使館を訪問したことがある。あまり取材には応じない大使が、テーマが留学生ということで快諾してもらったもので、実際には予定時間を超えて対応してもらった。

このときの質問は大きくわけて4つ。ひとつは「日本との歴史とその展望」次いで「日本との学術交流」、それから「留学生派遣に関するミャンマーの政策ないしビジョン」。最後に「留学生派遣について日本側に期待したいこと」といったことについて取材が行われた。当時のウ・ラ・ミン大使(写真参照)には、これらのテーマについて熱っぽく語ってもらったが、その概要は「ミャンマーは日本から多くのことを学びたいと考えている。どのような学問分野であっても本人に学力があれば留学はむしろ推奨しており、帰国後、国の発展のために尽くして欲しい。ミャンマーは農業関係、IT分野及び工科系分野に力を入れているが、これらに限定されているというわけではない」「日本に来ている留学生は国費留学生が206名、私費留学生が約400名程度いる(インタビュー当時の数字で、日本語学校での就学生も含むと思われる)。このうち、日本政府が支援する国費留学生の場合、国立大学を含めた公務員が選定されることが多く、民間の場合はどうしても私費留学が多くなる」という前提で、私費留学生の受け入れに関して以下のような希望を表明された。

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 大使の話では、「私費留学生の受け入れについて、日本の対応は少し厳しいという印象がある。大学等の入学許可を得ていても日本に滞在等の経費を負担してくれる支弁者がいない学生の場合は、外貨で200万円以上の預金があることを両親等が証明してくれない場合は、ビザが発行されないことが多いと聞いている」「ミャンマーは自国通貨を保護するため自国民の外貨所持を原則として禁止しているので、必要がある場合に許可を得た者以外は外貨預金口座を銀行に開設することはできない。したがって、この条件をクリアできないことが多い」「国内には多くの留学希望者が存在しているが日本には留学できないでいる」。「私としては、何らかの方法でもう少し条件を緩和してもらえるとありがたい」と話されていた。また、「留学希望者も、いきなり来日するのではなく、日本語をある程度母国で学んでから来日してもらいたい。ヤンゴンとマンダレーに外国語大学があり、日本語学科もあるし、国内には民間の日本語学校も複数存在している。日本側には、ぜひ日本語教師の派遣や教材の提供等で学習効果を挙げることができるように支援してもらいたい」と付言されていた。

ここに述べられている問題は、日本語学校への入学を希望していた1人の若いエンジニアの件で直接体験したことがある。外貨で200万円以上の預金証明が必要と日本語学校の担当者から言われ、ニュージーランド在住で、同地で先生をしていた親戚に支援を依頼していたが、かなわずに来日を断念していた。最近は現地通貨による預金でもいいという話も聞いたが、200万円相当のKyats(チャット)預金というハードルも現在のミャンマーではかなり厳しい。結局、日本人に経費支弁者(保証人)を依頼するのが早いが、そうそう簡単に日本人と接触する機会はないし、あったとしてもお願いするのは簡単ではない。高額の保証人承諾費用や仲介料ビジネスが存在する背景事情のひとつとなっている(就労を含め、高額の手数料をとって来日できずにトラブルに発生した事案も少なくない)。また、借金してこれらの費用を払うことも多く、こうして来日したミャンマー人の多くは滞在期間中のアルバイトや就労を余儀なくされ、卒業後、適当な就職先もなく不法滞在となってしまうケースも多く、かつては不法滞在者数は国別ワースト5に含まれていた。しかし、平成22(2010)年1月1日付けで公表された国籍別不法残留者数の推移(法務省入国管理局報道発表資料)によると、ミャンマーはいつの間にかワースト10からも外れている(ちなみに多い国籍順に列挙すれば、韓国・中国・フィリピン・中国(台湾)・タイ・マレーシア・ペルー・シンガポール・スリランカ・インドネシアの順)。背景事情が変化したのか、検挙が奏功しているのか、難民申請で合法化されているのか、別の事情によるのかはよく判らないが、最近は帰国しようという人が明らかに増加しているという実感はある。