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操船研修コース修了証明書

Volvo Engine.JPGミャンマーでは民間・公的団体を問わず研修(trainig)や勉強などのコースが頻繁に実施され、勉強のため多くの人が集まってくる。みんなよく勉強するが、終了後にはほとんどの場合、就職に役立てる意味があるのか修了証明書が発行され受講者に交付されている。 この種の研修コースには女性がよく参加して、かつ、熱心に勉強する傾向があるミャンマーだが、受講者が男性ばかりという研修を経験したことがある。

FRPによる造船に関与していたとき、沿岸警備用としての高速船舶の製造に関する協力依頼を受け、関係者が造船に関する技術指導等を行っていた時のことだった。このときは既に数艇の製造実績もあったので、ハル(船体)その他についての技術はミャンマー側に移転されていた。ただ、従来のものよりも大型になっていたが、技術的に何か特別のものが付加されたわけではない。しかし、速度を出す必要からエンジンを2基積むように設計されていたので、船底にエンジンを設置するときの計算や実際の作業が簡単ではなかった。

また、シンガポールから届いたエンジンも安い買い物ではないため、メンテナンス技術も同時に学ぶ必要もあったが、こちらは自動車のエンジン修理で慣れているせいか、メーカーから派遣された技術者の指導でたちまちマスターされていた。 写真は船舶用エンジンについて学ぶ技術者たち。

Mr.Miura.JPG製造過程では度々所管官庁の担当者が視察に訪れて興味深げに作業工程を眺めたり、質問するなどしていた。しかし、間もなく完成という時期に来て、誰が操船するのかの点が問題になった。関係者とも何度も打ち合わせを行ったり、担当者も何度も工場視察にも来ていたが、そういう話は出ていなかった。造るのに夢中で肝心のことをみんなが忘れていたらしい。

慌てて操縦できる人材を育成しなければならないことになって沿岸警備に従事する予定の関係者の中から操船担当に選抜された者を集めて操船研修コースを行うことになった。

これまでの体験で圧倒的に男性が多いと感じたセミナー等は、製紙・パルプ関係のものだったが、それは工場が遠隔地にあり、重労働が多く、きれいな仕事場ではないためかと思われるが、それでも女性受講者は少なからずいた。今回は、全員が灰色の制服を着用した男性で髪型も似ている。関係者にとってもこのような受講者を相手にするのは初めてのことだった。さらに問題になったのは、現場に操船技術の専門家がいたわけではなかった点である。わざわざこのために日本から専門家を招へいする経費はない。船舶の構造、エンジンといったようなことは、それぞれミャンマー人技術者も育っていたし、海事大学にも専門家がいたほか、エンジンメーカーからは専門家なども来ていたので彼らが講義を担当した。しかし、操船に関しては漁船の操縦経験があるが本職は技術者というM氏のみ。他に人材はいないため、無理を承知で同氏にお願いして、既存の船舶等を使用して操船指導を担当してもらうことになった。これが予想外にうまく行き、温厚な人柄と漁船で培った技術による指導が受講者に大好評で総勢50名ほどが順調に技術を習得していった。

ほぼ全員の研修が終了する頃に、沿岸警備艇用の船艇も完成していき関係者も安堵した。この頃になり「操船技術研修修了の証明書を発行して欲しい」という依頼をM氏は受けていた。同氏と船舶の発注を受けていたミャンマー企業の担当者は話し合って、M氏が指導者として署名し、会社名義で証明書を発行していた。意外だったのはそれをもらった受講生の嬉しそうな表情で、証明書にはそういう気持ちにさせる何やら効果があるらしい。M氏は権威あるSaya(先生)になっていた。 写真はひとり目立つ服装で指導中のM氏。