日本ミャンマー交流協会 AJMMC:

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ライバル育成セミナー

FRP-MES1.JPGミャンマーエンジニアリング協会においてFRP(繊維強化プラスティック:Fiber Reinforced Plastic)を用いた船舶製造セミナーを実施したことがある。4年ほど前のことで、講師として依頼したのは大手製造企業でFRPボートの製造に関与されていたO氏。セミナーでは「自分が担当した当時は大型船舶の製造ばかりでFRPボートの割合は1%にも満たないレベルだった」ことや、「FRPを原材料としてヘルメットや洗面器といったものまで作っていた」というような話も披露され、もっぱら技術的、実践的な話に終始されたこともあって集まったミャンマーの専門家たちの関心を最初から惹きつけていた。

セミナーは1部と2部に分かれ、午前中に行われた1部では途中で30分のコーヒーブレイクをはさんで約3時間、昼食後に行われた2部では小型模型に実際にFRPを使って製造する工程をみせながらの解説となり、この2部は特に関心が高かった。当時はFRPを材料とする高速艇を数隻すでに製造していたこともあり、あまりに具体性のある解説に、カウンターパートは「これでは競争相手を自ら育成しているようなもの」という不安を表明するほどだった(上写真はFRPを使った実際の工程作業を見学するために集まったミャンマーの専門家たち)。

FRP-MES2.JPG実際にも参加者からの質問も「グラスファイバーとレジンの割合はどうなるのか」とか、「FRPと鉄製船舶の比較、とくに厚みや重量の違いは・・」「どこから輸入できるのか。値段はどれくらいか」などといった実践的なものが多く講師のO氏はそのひとつひとつにきちんと対応されており、将来的にはビジネス化したいと願っていた関係者にすれば日本人技術者のオープンぶりは不思議だったかも知れない。

ミャンマーも他のアジア諸国と同じように原則として取得した技術やノウハウ、さらにはコネクションや情報などを簡単に他人には開示しない傾向をもつことは否定できない。それが特に仕事に関係するものではあれば尚更である。しかし頑固なまでに開示をしぶるということもない。ミャンマーの場合は人間関係が一定ラインを超えれば、むしろ秘密はない(または隠し事は失礼だ)といったような状況すら生まれる。もちろん民間人と軍を含む政府関係者ではこの限界ラインが違うだろうが基本は同じように思える。そんな中でも何の関係もない他人に実践的な技術や詳細な情報を提供して移転しようとする日本人エンジニアのメンタリティは理解しにくい。一般にはO氏だけの特殊事情ということも考えられるが、これまでの体験からして活動に参加された日本のエンジニアは全てこの傾向がある。質問されると例外なく丁寧な対応が行われるから日本人技術者はミャンマーでは高い信頼と尊敬をうけていることを毎回のように感じる。写真はセミナー参加者の前でFRP技術を披露しているところ。