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忍耐強い宝石業者

Gem Trading2.JPGミャンマーは東南アジア有数の宝石類の産地であり、特にルビーについては世界的にも知られている。関係者のほとんどは宝石について関心がないか、自分で取引できるだけの専門知識や経験はないので、関係するとしてもお土産で購入するか、プレゼントされるといった程度である。しかし、これまでに数人の専門家が訪緬したこともある。小売店の2人は成功し、専門性に疑問があった仲買業、その他の人はうまく行かなかった(売りに来るのは若い女性が多いが、相手が専門家かどうか簡単に見抜く)。その成功した宝石店経営者の取引に付き合ったことがある。

ヤンゴン市内の販売店に出向くのかと思っていたら、宿泊先とは別のホテルに一室が用意されていて、そこにブリーフケースとかのカバンに宝石を入れた複数の宝石業者が招待されていた。現物を見ながら交渉するのだろうと思っていたら、初日は持参された宝石全てを鑑定するだけ。朝から暗くなるまで丹念に飽くことなしに行われたが、こちらは何が行われているのかまるで判らないから、おそろしく気の長い作業に感じた。 写真は種類別にトレイに入れてテーブルに広げられた宝石の数々。

Gem Trading1.JPGミャンマー人はこの鑑定作業自体に興味津々の様子だったが、面白半分で付き合った日本人は1時間もしないうちに飽きてしまい時間をもてあます。ランチまでがまんしようと変化のない作業を眺めていたが、外出できると思っていた昼食の時間も部屋にランチボックスが届けられる始末。さすがにそれ以上の付き合いはできず早々に立ち去った。

翌日は選別された宝石について業者と値段交渉の日。終日別々の相手と話し合いが行われ、次々に売買が成立していた。当時はオークション以外で購入された宝石は原石のままでは国外に持ち出せず指輪とかネックレスとかの商品の呈をなしていないといけなかった(フォローしていないので現状はわからない)。その加工を施すため1日おいて次の日に支払いと交換に商品が渡された。宝石にそぐわないブリキのようなリングにキラキラした石が糊付けしてある。それも1個や2個ではない。たくさん購入されたみたいで玩具がジャラジャラしているような印象を受けた。もうひとつ重要なのが当局が発行したA4版サイズの2枚綴りの領収証。空港の税関にこれを提出すれば、一枚を返してくれる。この手続を踏まずに持ち出すと密輸出になる( 当局は、これについてはかなり厳しく、もし発見されるとブラックリストに掲載され入国できなくなることがある)。ヤンゴンのダウンタウンには路上で歩きながら宝石を販売する( 多くはインド系と見られる ) ミャンマー人も多数存在しており、彼等から購入する人もいるが、領収証などはないのでとても危ない。

悩ましいのは、この領収証に記載される金額を実際の購入価格より相当低く記載しようとすることで(正確に記載すると税額も高くなるため )、10分の1程度になるのは普通のこと。それでも購入相手の承諾を受けてから記入すればいいが、ときには黙って記入してそのまま渡されることがある。税関で価格を聞かれることはあまりないが、幾らなんでもおかしいという金額が記載されていると質問されることがある。記載された金額に覚えがないと実際の購入価格を答える。それで問題が発生する。奥さんへのプレゼントで購入した関係者に実際にそういうことが起こった。

Gem Trading3.JPGダウンタウンのマーケットでは、購入後に領収証が欲しいと伝えたら女主人が怒り出して領収証発行代金を要求された人もいる(そのひとはその代金の分の領収証も出せと言いたかったらしいが・・)。東京の大学院で勉強中の娘に父親から誕生日プレゼントの持参を依頼された人がいて、帰国時に空港税関のチェックで宝石があると言われた。本人は全く身に覚えがなかったが、プレゼントの中を開けたら厳重に縫われた小さな布袋の中からダイヤモンドのネックレスが出てきた。幸い宛名を書いた包みの中に入っていたので事なきを得たが、中身を確認しないで預かるのは時にリスクとなる。

ところで、前記の忍耐強い宝石販売店のオーナーは帰国後、「ミャンマーで買った宝石3個を売って購入資金は回収できた」と話していた。30から40個は購入されていたから集中した3日間は無駄ではなかった。 写真は民間の宝石加工場。