日本ミャンマー交流協会 AJMMC:

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クーン(ミャンマーの噛みタバコ)

Vendor shop.JPGクーンはミャンマーの噛みたばこのことで、ヤンゴン市内だけではなく国内のいろいろな地域で見かけることができ、ヤンゴンなどでは主に路上の屋台で売られている(左写真参照)。台湾や東南アジア、インドで一般的に見られる噛みたばこと同じ種類と言われ、ヤシ科の植物であるビンロウ(檳榔)の果実の種子をカットして、石灰を溶いたものをキンマ(コショウ科コショウ属の植物)の葉に塗布したものでくるんだものを口に入れてガムのように噛む。ほかの地域同様、ミャンマーもビンロウの種子以外にも好みで、または店独特の味付けとしていろいろなものを混ぜて売るのが普通。種子にはニコチンと同様の興奮または刺激・酩酊作用があると言われ、しばらく噛むと口の中が真っ赤になる。飲み込まないでそのまま吐き出すが、そのあとが路上に残っているため最初に見たときは血液のように見えた。口の中が真っ赤になるのでクーンを噛んでいる人と話すのはあまり気持ちのいいものではない。 写真の屋台はビンロウの種子以外に入れるものはインドから缶に入って輸入されたものと話していた。

Process.JPG習慣性があると言われるほか、石灰を含んでいることから赤くなった唾液とともに歯に褐色の歯石が付き、常習性のある人は口腔粘膜炎をおこし、ひどくなると口が開かなくなるといわれる。もともと重労働を強いられる労働者が疲れなどを癒すのが目的だったということだが、ヤンゴンでは特に肉体労働者ではない人も嗜好品として口にするひとが結構いるように思う。もっとも最近のヤンゴンでは若者を中心に嗜好品としても人気が下降している。

この屋台での販売価格は1個25Kyatsから50Kyatsで売られていたが、ダウンタウンの人気がある屋台では3個200kyatsで売られており、引きもきらず顧客が訪れていた。大きさが違っていたので、混ぜ物がこことは違うように思われる。

このクーンについて最近Weekly Eleven誌が、「口腔ガン患者は、ガン患者全体の10%程度だが、その90%は噛みタバコを愛用する人に発生し、その愛用者が多いインドと東南アジアでは、口腔ガンは5番目に多い疾病となっている。また、これらの地域では口腔ガン患者は増えている」とするWHOの報告を報道した。さらに「噛みタバコの習慣がもたらす健康への被害を減らすために、その販売地域を制限し、タバコと同様に病院、学校、映画館といった公共性のある場所では販売させないようにすべき」で、「愛用者は使用を中止して医師の診断を受ける必要がある」と警告している。

この問題については、上に言われるまでもなく、既に、新潟大学歯学部の朔敬教授が、ミャンマーの国立医学研究所と協力して、地方での調査及び検診などを早くから実施され、クーンのもたらす口腔健康に対する悪影響を警告されている。

 Seed (cut and divide).JPG左は、ビンロウの種子をカットしたもの。 これが石灰を水に溶いたものを塗布したキンマの葉にくるまれる。何個入れるかなどは好みによる。

 本稿は新潟大学歯学部の朔敬先生に一部手直しをして頂きました。

 

 なお、このクーンの材料でるビンロウの葉(Betel Leaves)が、2011年4月に急上昇しているという情報がある。国営New Light of Myanmar(2011年4月27日号)の記事によると、産地であるバゴー管区Oktha, Thaya-aye, Indagawといった地域のものが、それまで1ビス600kyatsから1000kyatsだったものが、最近になって2500kyatsまで上昇しているというもの。